質 問
春の花が終わって、種子を採り育てたいのですが、花の種子採りの留意点について教えてください。
回 答
「美しく咲いた花から種子を採取し、来年また咲かせたい」ガーデニングをする人なら誰でも思うことです。種から育てた花が咲いてくれると、花がさらに愛おしくなります。種子を採り育てることに、是非チャレンジしてください。
1、種子について
種子は一定の休眠後、発芽する繁殖器官です。形や性質は植物によって異なります。それぞれの特徴を頭に入れておきます。
お店で売っているものにF1と書かれているものがあります。これは、一代交配種です。その種の花後に種子を取ると、交配前の花になることがあります。
2、種子を取る時期
花が終り、サヤが黄色くなった時点でサヤごとあるいは、種だけ採取します。
サヤが膨らんではじけたり、飛んでいってしまうものもあります。その場合はサヤが緑色でも割ってみて黒くなっていれば、採り時期です。
3、種子の採り方
種子をつけたサヤの上の方を切ります。穂がついているもの(ピンクタンポポやオキナグサ)はソーッと手で包むように採ります。種子は封筒や紙コップに採り、乾燥させるようにします。
4、種子の保存方法
自分で採った種は条件が整えば数年間保存できます。さやから外した種子はゴミを取り除き封筒に入れ(ビニールの袋は蒸れてしまいます)。
「品種名」「採種年月日」を記入しておきます。「播種の時期」を書いておくのも、忘れなくて良いと思います。
これらの袋は箱等に入れ、乾燥剤を入れて冷暗所(冷蔵庫野菜室も良いと言われています。)に保存します。
5、種播きの時期
春の花は、秋の彼岸頃に播種するのが良いでしょう。但し、パンジーやビオラは秋の彼岸では育つのが遅くなるようです。8月の下旬頃が良いでしょう。
6、個別の例
(1)種子が大きい花 ルピナス、ルナリア・・・サヤのまま採ります。サヤが自然にめくれてきます
(2)種子が細かい花 ケシ ・・・サヤを下向きにして落とします
わすれな草 ・・・シゴいて採ります。
ヒメサボンソウ ・・種子の下方を切って、新聞紙の上に置くか、大きな袋に入れておきます。
種がこぼれてきます。
※細かい種は、播種する時砂や石灰に混ぜて播きます
(3)すぐに蒔く花 セツブンソウ、キバナセツブンソウ、ヤマシャクヤク、クリスマスローズ ・・・
すぐに、湿った所やポットに播きます。冬の寒さに当たったあと、早春に芽が出ます。
開花まで3年要します。
<二年草>ジギタリス、カンパニュラメジューム、バーバスカムホリホック、ルナリア等・・・
採取後6月ごろに播きます。
<宿根草>オダマキ、フウロソウ等 ・・・
採り蒔きします。播種後1ヶ月位で発芽します。
秋まきも可能ですが、苗の半分くらいしか花が咲きません。
シナワスレナグサ・・・採ってすぐに播くと、秋に花が咲きます。
(4)こぼれ種の方が良い花 オルレア、ポピー ・・・耕さないところが良いです。
※参考 「花とやさい」づくりの園芸用語事典 肥土邦彦著 誠文堂新光社